こんにちは。
ワンちゃんを飼った時、動物病院で避妊手術や去勢手術をすすめられませんでしたか?
今回は、避妊去勢手術の寿命への影響について取り上げたいと思います。
★本トピックに関係が薄いことや、個人的な意見は「へりくつ」として参照いただけます。読み飛ばしていただいても大丈夫です。
寿命が延びるなら良い事だよね
ワクチンであったり、避妊去勢手術のような予防的な処置は、結局のところ「元気で長生きして欲しい!」という思いを叶えるためにあるべきです。
それが叶うのかどうか、データを見ていきましょう。
手術自体がリスクになってしまうような子や、繁殖を望む子はしなくてもいい手術です。だから手術前にしっかり検査してくれる病院を選び、なんとなく手術を受けさせるのではなく、先生と相談した上で手術を決めて欲しいです。
研究データを考えてみる
実際に寿命が延びるのかどうかですが、
2019年にワシントン大学のSilvan先生が発表した研究で、避妊去勢手術をした子の方が寿命が長いというデータが出ています。
これは2,370,078頭もの犬を対象に、後ろ向きコホート研究という方法で検討されている為、個人のイメージより圧倒的に信頼できるデータです。
後ろ向きコホート研究は、研究のために動物を集めるわけではなく、カルテをひっくり返してデータを取るような研究です。なので、データの信用性(エビデンスレベル)は中くらい。
今回の場合、「手術する人の方がマメに病院に通うタイプなんじゃ?」だとか、手術したかどうかじゃなくて「出産を経験しているかどうかが寿命に影響してたんじゃ?」などという疑問が残ってしまいます。
詳しくはこちらを→wikipedia
わずかな差ですが、統計学的に偶然とは言えない明確な差が出ています。
中間寿命というのは、100人中50位の人はどのくらい生きるのか?という数字です。平均値ではなく中央値という値を使っています。周りと比べて非常に短命な子と非常に長寿な子の影響を受けにくいため、普通な子の実際を表現しやすい数字になります。
中央値についてはこちら→wikipedia
手術のせいで亡くなる子、手術の影響で病気になったかもしれない子、そういった子たちがいたかも知れないと考えても、長生きできるようになる子の方が多いようです。
避妊去勢手術を正しく行えば寿命は延びる事が多い。
この研究での数値は、どのくらい生きるのかという意味ではほとんど意味がありません。半数の子は14歳以上生きてたよ、という程度の意味になります。
アメリカは日本と比べて、大型犬の割合が非常に多いです。同研究のデータにもありますが、大型犬は小型犬より非常に短命です。そういった意味でも、もし同じような研究が日本で行われれば、もう少し良いデータが出るかもしれません。
避妊去勢手術の他のメリット、デメリットはまたいずれ取り上げたいと思います。
この研究では他にも、犬種による寿命、体格による寿命、スケーリングを行うことでの寿命などについても言及されているので、そちらもいつか取り上げたいと思います。
Silvan R Urfer et al. (2019)Journal of the American Animal Hospital Association. ;55(3);130-137.